この記事の要点
- 健康保険と自賠責保険・任意保険は、それぞれ目的と手続きが異なります。
- 仕事中・通勤中以外の交通事故では、健康保険を使える場合がありますが、届出が必要です。
- 整骨院での費用の取扱いは、負傷内容、施術の必要性、保険会社の確認などで個別に変わります。
整骨院へ行く前に:どの保険を使う想定か、自己負担や立替、必要書類を確認します。
最初に3つの保険を分けて考える
交通事故で整骨院へ通うときは、自賠責保険、任意保険、健康保険という言葉が出てきます。窓口でお金を払わない点だけを見ると同じに見えることがありますが、目的も手続きも異なる制度です。
自賠責保険は、自動車事故で他人を死傷させたときに基本的な対人補償を行う強制保険です。任意保険は、自分で契約し、自賠責保険で足りない部分などを契約内容に応じて補います。健康保険は、病気やけがの医療費を支える公的制度です。
- 自賠責保険:交通事故による人身損害への基本的な補償。
- 任意保険:契約内容に応じて自賠責を超える損害などを補償。
- 健康保険:病気やけがの医療費を支える公的制度。
整骨院の費用が自賠責の対象になり得る条件
国土交通省の自賠責保険の支払基準では、免許を持つ柔道整復師が行う施術について、必要かつ妥当な実費が対象になり得るとされています。つまり、柔道整復師の施術費が交通事故の損害として認められる可能性はあります。
ただし、整骨院へ通った費用が無条件ですべて認められるわけではありません。事故との関係、けがの状態、施術の必要性、期間や回数、費用の妥当性などが個別に確認されます。施術を始める前に、相手方の任意保険会社が窓口の場合は、通院先と費用の支払方法を伝えて確認します。
交通事故でも健康保険を使える場合がある
相手がいる交通事故は、第三者の行為によるけがにあたります。仕事中・通勤中の事故などを除き、健康保険を利用できる場合があります。健康保険側が負担した医療費を後で加害者へ請求するため、『第三者行為による傷病届』などの提出が必要です。
仕事中や通勤中に起きた事故では、原則として労災保険の対象になるかを勤務先などへ確認します。どの制度を使うか分からないときは、加入している健康保険、勤務先、保険会社へ事故状況を伝えて確認してください。
健康保険で柔道整復師の施術を受けるルール
健康保険で柔道整復師の施術を受けられるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫などです。骨折と脱臼は、緊急の応急手当を除き、医師の同意が必要です。日常生活による肩こり、筋肉疲労、原因がはっきりしない痛みなどは対象になりません。
また、同じけがについて医療機関で治療を受けている期間に、整骨院でも健康保険を使うことはできない場合があります。施術を受ける前に、負傷名と健康保険の対象になる理由を確認し、申請書の内容を自分でも確認してから署名します。
窓口負担0円と保険適用は同じ意味ではない
相手方の任意保険会社が、整骨院へ施術費を直接支払う場合、利用者が窓口で一時的に支払わないことがあります。しかし、これは事故状況に関係なく無料になる制度ではありません。
過失の状況、施術の必要性、保険会社の対応、契約内容などによっては、立替や自己負担が生じる可能性があります。『必ず0円』『保険会社への連絡は不要』という説明だけで通院を決めず、誰がどの制度に基づいて費用を支払うのか確認します。
整骨院へ行く前の確認リスト
施術所の説明だけで費用の扱いを確定せず、保険会社や加入している健康保険へ確認します。医療機関で身体の状態を確認していない場合は、症状を伝えて診察や検査の必要性も相談してください。
- 誰が施術し、柔道整復師の免許を持っているか。
- 施術所として必要な届出をしているか。
- どの負傷に対して、どの施術を行うのか。
- 自賠責、任意保険、健康保険のどれを使う想定か。
- 保険会社へ通院先を連絡する必要があるか。
- 自己負担や立替が発生する可能性があるか。
- 領収書や施術証明書を発行できるか。
- 医療機関との連携方法があるか。
通院中に記録すること
施術日、施術を受けた部位、症状の変化、説明された内容を記録します。交通費、領収書、保険会社への連絡日時と担当者名も残します。症状が悪化した、新しいしびれが出た、力が入りにくいなどの変化があれば、施術所だけで判断せず医療機関へ伝えてください。
保険会社から費用の支払いについて連絡があった場合は、いつまでの費用が対象か、判断の理由は何か、今後必要な書類は何かを確認します。分からない内容は口頭だけで済ませず、書面での説明を求めることも検討します。
確認に使用した一次情報
最終確認日:2026年8月25日。制度・運用は変更されることがあります。