事故で身体を痛めた可能性があるときは、まず症状を医療機関へ伝え、必要な診察や検査について相談することが大切です。そのうえで整骨院・接骨院への通院を考える場合は、担当者の資格、施術内容、費用の扱いを確認します。
- 担当:医師
- 診察・診断・検査
- 投薬・診断書
- 担当:柔道整復師
- 打撲・捻挫等の施術
- 費用は個別に確認
- 「整体」に国家資格制度なし
- 資格と届出を確認
- サービス内容を確認
判断の起点:強い症状や異常がある場合は、まず救急要請または医療機関への相談を優先します。
まず4つの名前を整理します
通院先を選ぶ前に、それぞれが何をする場所なのかを知っておきましょう。
整形外科とは
整形外科は、骨、関節、筋肉、神経などのけがや病気を診る医療機関です。医師が身体の状態を診察し、必要に応じてレントゲンなどの画像検査、薬の処方、診断書の作成を行います。
たとえば、事故後に首が動かしにくい、手足がしびれる、頭や腰が痛いというときに、その症状の原因や緊急性を医学的に確認する役割があります。
整骨院・接骨院とは
整骨院と接骨院は、基本的に同じ種類の施術所です。国家資格である柔道整復師の免許を持つ人が、骨折、脱臼、打撲、捻挫などに対する施術を行います。
柔道整復師は医師ではないため、病名を診断したり、薬を処方したり、レントゲン検査をしたりすることはできません。骨折や脱臼への施術は、応急手当の場合を除き、医師の同意を得る必要があります。
整体院とは
「整体」という名称そのものには、医師や柔道整復師のような国家資格制度がありません。提供するサービスや施術者の資格は店舗ごとに異なります。
整体院という看板でも、柔道整復師の免許を持つ人が在籍し、別途、施術所の届出をしている場合があります。ただし、看板の名前だけでは判断できないため、誰が、どの資格で、どの業務を行うのかを確認する必要があります。
| 施設 | いる人 | 主な役割 | できないこと・注意点 |
|---|---|---|---|
| 整形外科 | 医師 | 診察、診断、画像検査、投薬、診断書の作成など | 施術内容や診療時間は医療機関ごとに異なります |
| 整骨院・接骨院 | 柔道整復師 | 骨折、脱臼、打撲、捻挫などへの施術 | 医師による診断、投薬、レントゲン検査はできません |
| 整体院 | 店舗により異なる | サービス内容は店舗ごとに異なります | 名称だけでは国家資格や法的な施設区分を判断できません |
事故後に医療機関への相談が大切な理由
交通事故の直後は、緊張や興奮で痛みに気づきにくいことがあります。また、外から見ただけでは分からないけがもあります。強い痛み、しびれ、意識の異常、吐き気、動かしにくさなどがある場合は、救急要請または医療機関への相談を優先してください。
国土交通省も、事故後は速やかに医師の診断を受けるよう案内しています。事故から受診までの期間が長いと、その症状が事故によるものか確認しにくくなる場合があるためです。
整骨院・接骨院の費用はどう扱われるのか
交通事故のあとに整骨院へ通う場合、よく出てくるのが「自賠責保険」「任意保険」「健康保険」という3つの言葉です。これらは同じ保険ではありません。
- 自賠責保険は、自動車事故による人身被害を補償するため、すべての自動車に加入が義務づけられている保険です。
- 任意保険は、契約者が任意で加入し、自賠責保険で足りない部分などを契約内容に応じて補う保険です。
- 健康保険は、病気やけがの医療費を支える公的な制度です。交通事故でも利用できる場合がありますが、第三者行為による傷病届などの手続きが必要です。
国土交通省の自賠責保険の支払基準では、免許を持つ柔道整復師による施術費は、必要かつ妥当な実費が対象になり得るとされています。ただし、整骨院へ行けば、すべての費用や期間が自動的に認められるという意味ではありません。けがの状態、施術の必要性、事故との関係などをもとに個別に確認されます。
健康保険を使う場合の注意点
健康保険で柔道整復師の施術を受けられるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫などです。骨折と脱臼は、緊急の応急手当を除き、医師の同意が必要です。日常的な肩こり、筋肉疲労、原因がはっきりしない痛みなどは健康保険の対象ではありません。
さらに、同じけがについて医療機関で治療を受けながら、整骨院でも健康保険を使うことはできない場合があります。交通事故の賠償として保険会社が費用を支払う場合とは仕組みが異なるため、どの制度を使うのかを曖昧にしないことが大切です。
整骨院・接骨院を選ぶ前の確認リスト
施術者が柔道整復師か、施術所として必要な届出をしているか。
診察や検査が必要な症状を、医療機関へ案内できるか。
どの保険を使う想定か、立替や自己負担の可能性を説明できるか。
領収書や施術証明書を発行し、施術内容を記録しているか。
症状を確認せず、期間や回数を一律に決めていないか。
慰謝料や治療費について「必ず」「最大額」だけを強調していないか。
迷ったときに伝えること
医療機関や施術所へ相談するときは、「いつ、どのような事故に遭ったか」「どこが、いつから、どのように痛むか」「しびれや吐き気などがあるか」「すでに受けた診察や施術」を伝えます。保険会社へは、希望する通院先だけでなく、費用の支払方法や必要書類も確認しましょう。